⇔ひたすらに踊る少女は手鏡に
映すカンナの燃えぬ間に老ゆ
・木犀やみな再会の笑みをみせ
⇔パーティの会場出でて笑み交わす
みな再会の木犀の闇
・蘭の香や眉根寄るとき笑むときも
⇔あるときは笑むほど蘭の匂いたち
あるは決して眉根寄せたり
・茎揺らし蕊おぞましき曼珠沙華
⇔高麗郷の丘に乱舞の曼珠沙華
気を惹く蕊の茎ぞおぞまし
・曼珠沙華染めて逢瀬の木の間かな
⇔曼珠沙華逢瀬夢見て緋に染まり
木の間隠れに花弁を広ぐ
・壁の花秋燕去りて野に枯るる
⇔舞踏会秋燕もどる寂しさに
壁から離る花は野に枯る
・カンナ乱舞背信今も許さざる
⇔若き日の背信何故に許さざる
カンナ乱れて咲きしフロアー
・人妻の触る彼岸花茎細き
・背後より声かけて舞ふ秋の虹
⇔気がつけば背後に忍ぶ秋の虹
出逢ふ薄日にうたかたの舞ひ
・林檎むきかそけき夢の光舞ふ
⇔信濃路に林檎の皮の舞ひながら
少女夢みし光るナイフを
・寄る星のうすき銀漢演舞場
⇔手をとりてうすき銀漢横たわる
織女牽牛踊る舞台に
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