横浜赤レンガ倉庫
倉庫周辺では、夜気が痛いまでに凍み、照らすライトが今にも雪降らす除夜を演出する。濱に雪が降ることは殆ど無いのだが・・・ふと雪明りに迷う伊藤整の雪女の詩を口ずさみたくなる。
雪女幻想でもあるまいに・・・・少年はみな雪女を心の内に秘めながら青年になる。大きな丸い月がそのまま少年の挫折した恋を照らす。一斉に吹き鳴らす霧笛が湾内に響き渡って、濱は新玉の時を迎えたようだ。
その人はうすい歯の足駄をはき 紫の角巻きに顔をかくして来て
指で私の窓の雪をおとし 夜すがら泣いて語っては
夜明けの雪あかりの中を さみしく帰って行くのを
私は朝になってから よく知ってゐるのだけれども。
ー北海道生まれの伊藤整の詩 「雪あかりの人」よりー
赤レンガ倉庫冬10句
・音絶えし煉瓦に赤き除夜の鐘
⇔ 煉瓦照らす除夜の焔は音絶えの
濱の霧笛を刹那揺らしむ
・大晦日濱ぼうぼうの石畳
⇔ 赤煉瓦倉庫を辿る石畳
ぼうぼう哭かす晦日の鳥を
・少年の透けてみる眼に雪女
⇔ 少年の眼に映る雪女郎
自失の恋に透ける幻
・隠れ来よ壁に寄る辺の冬の月
⇔ 澄み渡る空を恃みの冬の月
隠れる壁に寄る辺求めて
・悔いてなお廻る霜夜の観覧車
⇔ 廻りながら悔いを残せし観覧車
カウントダウンに灯る時の輪
(マウスで軽く触れて下さい)
日本を代表するレンガ造建築物として高い評価を受けている歴史的資産で,横浜のシンボルとしても広く市民に知られています。倉庫の保存活用作業が終了し、H14年から非日常の世界が、毎年楽しいイベントと共に、一号館 二号館で繰り拡げられて、一般公開されています。現在は2月1日より開業した「みなとみらい線」の開通で一層賑いを見せていることでしょう。
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